富山県生活協同組合

2019年度 福島復興支援視察交流ツアー報告

東日本大震災の発生から9年が経とうとしています。

 今回の視察交流ツアーでは、主に※浜通りを中心に津波被災地域や避難指示区域の現状を見学し、2日目には、相馬双葉漁業協同組合(相馬市)の視察を行い、職員から福島の水産物(風評被害等)の現状についてお話を聞きました。

※浜通り…相馬市,南相馬市,いわき市と相馬郡,双葉郡からなる海沿いの地域 

福島復興支援視察交流ツアー 概要

日程11月29日(金)~30日(土)
主催富山県生活協同組合、生活協同組合CO・OPとやま
企画協力みやぎ生活協同組合(コープふくしま)、富山県生活協同組合連合会
参加者31名(うち 富山県生協からは16名)

 

視察ルート

11月29日(金)

・富岡町夜ノ森周辺 ~ 

・東電廃炉資料館 見学 ~ 

・浪江町(請戸・浪江駅周辺)

11月30日(土)

・相馬双葉漁業協同組合 相馬支部(報告学習会)~

・磯部加工組合直売所、JA大型直売所「百彩館んめ~べ」(お買い物)

 

1日目(11月29日)

ガイガーカウンター(放射能測定器)

ガイガーカウンター(放射能測定器)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生活協同組合コープふくしまの宍戸副本部長、菅野組合員活動運営員と合流し、放射能測定器を持って津波と原発事故の被害が残る浜通りの視察に向かいました。

 

楢葉町・富岡町付近

除染廃棄物が置かれていた仮置き場からは、フレコンバッグが移動されており、何もない空き地が広がっていました。また、耕作放棄地などでは、大量のソーラーパネルが設置されていました。これは、東日本大震災によって再生可能エネルギーを取り巻く状況が大きく変化した姿であり、原発事故の被災地が再生可能エネルギーの拠点に生まれ変わっている姿でもありますが、震災によって耕作地を放置することになった被災者の無念な気持ちも感じました。

sfsfs

黒い袋(フレコンバッグ)に入っているのが除染廃棄物です。

dgdg

福島県は2040年ごろを目途に、県内のエネルギー需要量の100%以上に相当する量のエネルギーを再生可能エネルギーで生み出すという目標を掲げています。

 

 

 

 

 

 

 

 

分断された町 

迂回案内の看板。 「この先帰還困難区域につき通行制限中ここで迂回してください」と案内しています。

迂回案内看板には、「この先帰還困難区域につき通行制限中」と案内しています。

 

バリゲード(写真中央)と白いガードレール(右側)が設置されています。ゲードの先は、帰還困難区域になっており、立ち入ることができません。

避難指示解除区域に住宅がある人は、避難のための補償が打ち切られる一方、帰還困難区域に住宅がある人にはまだ補償が続いたり、帰還する、しないによって家族や地域で意見が分かれたりと、原発事故は目に見える分断と同時に目に見えない分断も生まれています。 


夜の
森(よのもり)の桜並木

閑散とした街中を進むと、富岡町の名所である「夜の森の桜並木」の周辺を車中から見学しました。全長2km以上の桜並木となっていますが、今でもそのほとんどが期間困難区域に指定されているため、入ることができません。

※富山県生協では今年の5月に、夜の森のさくらの、直系子孫を全国に広める「夜の森のさくらプロジェクト」に参加し、高さ約1mのソメイヨシノの苗木1本を植樹しています。

詳細はこちら←←

前著

立派な桜並木ですが、その先は帰還困難区域になっています。

 

東電廃炉資料館(富岡町) 見学

原発事故の事実と廃炉事業の現状等が分かる施設になっています。原発事故を振り返りその反省と教訓を伝えるゾーンや、廃炉事業の全容と最新の現場の状況を知ることができるゾーンを見学し、原発問題の今を知りました。

東京電力福島第一原子力発電所構内の状況を知ることができる巨大なモニター。

東京電力福島第一原子力発電所構内の状況を知ることができる巨大なモニター。

はいうr

1日に4,000人の作業スタッフが廃炉作業に携わっています。事故処理の内容や作業エリアなどによって、防護服やマスク等の着用基準が設定されており、原発事故処理の難しさを知ることができます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浪江町請戸地区周辺

 次に向かった浪江町請戸地区では、津波によって1階部分が破壊された小学校の建物が今でも残っています。この小学校は直線距離で約6kmのところに東京電力福島第一原発があります。現在は、避難指示が解除されていますが、この周りは、ほぼ更地。小学校の建物と除染廃棄物の仮置き場があるだけです。避難指示が解除されても、戻っていいのか、戻って生活できるのかという被災者の方々の不安を肌で感じました。

 

津波によって1階部分が吹きさらしになっています。

津波によって1階部分が吹き抜けになっています。

海から約300m。約15mの津波が請戸小学校を襲いました。

海から約400m。約15mの津波が請戸小学校を襲いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

大量のフレコンバッグと工事車両ばかりがあるのみです。

見るのを拒むかのように高いフェンスで囲われている除染廃棄物の仮置き場。(大型バスから撮影)

除染廃棄物の焼却施設です。

除染廃棄物の焼却施設です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浪江駅周辺

2017年3月末に避難指示が一部解除された浪江町の駅前の様子です。営業を再開した浪江町には人影は少なく街並みも閑散としていました。また周辺には倒壊の危険がある建物が残っています。

2017年8月に

2017年8月ツアー時に撮影。倒壊の危険がある建物。

今回の津あ0

今回のツアー時に撮影。依然として震災当時のままです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日目(11月30日)

 相馬双葉漁業協同組合(相馬市) 見学・学習

相馬双葉漁業協同組合の参事 渡部(わたのべ)さんから福島県の水産業の現状と今後の展望を聞きました。この漁業組合の操業海域には、東京電力福島第一原発前の海域を含む福島県の北側半分を占めており、年間170種類以上の多種多様な魚介類が水揚げされ、また親潮と黒潮が交錯する潮目付近ということもあり、獲れる魚は身質が良く、『常磐もの』として、全国の市場でも高値で取引されていたところです。

漁業組合の説明をしています。

漁業組合の説明をしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在は、出荷先での評価を調査したり、福島のお魚を流通させることで安全性をアピールするため「試験操業」を続けています。ここでは、風評被害を払拭するために、国の一般食品の安全基準である100㏃(ベクレル/kg)の半分以下「50㏃」という独自の安全基準を定めています。毎週約50~100検体前後の魚介類についてモニタリング検査を継続し、2017年以降は99%以上が不検出、と数字の面で安全を訴えていますが、今でも福島産の水産物は安く買い叩かれ、なかなか状況が改善されない現状に歯がゆい思いをされてることを知りました。

 また、相馬双葉漁協は7つが合併した漁業組合でもあり、被災者という立場は同じでも、被害の度合いによって特定の個人を優先している(身びいきしている)と疑われたりと、原発事故がなければ起こることもなかった問題の対応をしたりと大変苦労されたと話されました。また、原発事故後、漁家の高齢化と後継者不足がより一層進み、漁業の安定した基盤を確立しないと漁協を保つことが難しい問題もあると話されました。

 最後に、生協に期待することも話され、全国にネットワークを持っている大きな消費者団体である生協の強みを生かして、福島の現状を知り、福島の水産物(食べ物全般)が安全でおいしいということを広く発信して欲しいと話されました。

gggg

津波は屋根を超え、建物全体を飲み込みました。

あsだd

相馬双葉漁業組合の「せり場」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

買って支える

磯部加工組合直売所(相馬市)

磯部加工組合が運営する商業施設で、福島県の相馬地区・双葉地区の近海で獲れた水産物を直営ならではのお得な価格で提供し、観光客や地元の方に親しまれている直売所です。

新鮮な魚が並んでいます。

新鮮な魚が並んでいます。

だd

スクリーニング検査の検査証明書が張られています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

JA大型直売所 百彩館「んめ~べ」(伊達市)

生産農家から届けられる新鮮で美味しい野菜や果物が勢揃いしています。

福島のりんごが、お手頃な価格で販売されていました。

福島県産りんごや、旬なお野菜が、お手頃価格で販売されていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視察を終えて・・・

 震災から8年半が経過した今なお、安心して生活を送ることができない被災者の思いを感じることができました。原発事故によって住み慣れた地域で生活を送ることが出来なくなり、地域コミュニティが分断されてしまったことに、心を痛めた思いをした参加者も多かったと感じます。また、今回、風評被害を抱える漁業に携わる人の思いを聞き、改めて、福島の現状をお知らせして行くことは、消費者団体である生協の使命でもあると感じました。富山県生協では、これからも福島の現状を学びながら、被災地に寄り添って行きたいと思います。

IMG_8764

 

参加者の感想

・コープふくしまの方々や、相馬双葉漁業協同組合の方から被災地の震災以降の取り組みや現状について分かりやすく説明していただきとても良かったです。

・大量に積まれた除染廃棄物や、帰還困難区域にある住宅や店舗、会社等の入り口をふさぐように設置された柵を目のあたりにして原発事故がもたらした危害のすさまじさを痛感しました。

・相馬双葉漁協組合の漁業復興への取り組みから、福島の魚の安全性を知り、しっかり検査され安心して購入できることが分かりました。今後も農産海物等を積極的に購入して少しでも復興の支援に繋がればと思います。

・福島の食べ物は安全・安心でおいしいことを伝えたいと思います。

・なかなか終わりの見えない戦いですが、応援しているものが大勢います。心を強く持ち、頑張りましょう。「福島」という言葉が特別な意味を持たない日がくることを願っています。